「Webマーケターに興味があるけど何をするかよくわからない」「 Webマーケテイング担当になったけど何から始めればいいかわからない」
Webマーケティングは良く耳にする言葉ですが、仕事内容がイメージできない方も多いのではないのでしょうか。
Webマーケティングは対象範囲が広いため、部分的なマーケティング手法だけでなく、全体像を最初に理解する必要があります。
筆者は現役のマーケターとして、Webマーケティングの戦略立案から運用まで一通りの業務を経験しています。
この記事を読めば、Webマーケティング全体の体系的な理解が進み、具体的なマーケティング手法もイメージしやすくなるでしょう。
記事の後半では、あなたのWebマーケターとしてのスキルアップやキャリアップに繋がる内容も紹介しています。
この記事を書いた人
現在はエンジニアとITコンサルタントをしています。
Contents
Webマーケティングとは?
Webマーケティングとは、「Web上で行う商品・サービスの売上向上を目指す活動全体」と定義され、主にWebサイトに人を呼び込み商品やサービスを販売する行為を指します。
Webマーケティングは基本的にオンライン上で完結する活動です。Webマーケティングに近い言葉でデジタルマーケティングがありますが、デジタルマーケティングはオンライン上だけでなく、オフライン上でデジタル技術を使ったマーケティングもカバーします。
例えば、IoTを活用したデジタルサイネージはデジタルマーケティングの一つです。
Webマーケティングの重要性
経済産業省発表の『令和元年度 内外一体の経済成長戦略にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)』によると、2010年に7兆7880億円だった国のECの市場規模が、2019年には19兆3609億円と2倍以上に急拡大しています。
しかし、国内のEC化率自体は6.76%とまだ低い水準であり、多くの商品・サービスがECで販売される成長余地がまだまだ残されています。
引用元:経済産業省 電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました
多くの消費者がインターネットを通して買い物をする機会が増えたことで、企業におけるWebマーケティングの重要性もますます高まっています。
Webマーケティングの特徴
主要4媒体(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ)での従来のマーケティングとは異なり、WebマーケティングではWebサイトを利用した人の詳細な情報を取得できるのが大きな特徴です。
Webサイトの分析ツールを使えば、どんな人が何をきっかけにWebサイトにアクセスしたか、どんなコンテンツを見て商品・サービスを購入したのかが把握できます。
そして、ユーザーの年齢、性別、居住地、興味、サイトの滞在時間など、非常に細かいデータを取得できるため、具体的な集客施策やWebサイトの改善を素早く行えます。
また、Webサイトのコンテンツは事実上無料で作成でき、Web広告もテレビ広告と比べて安価であるため、コストを抑えた施策が打てます。
Webマーケティングの特徴
- 詳細なターゲティング
- データに基づくスピーディな改善
- コストが低い
Webマーケティングの5つのステップとは?
Webマーケティングには、戦略策定・集客施策・接客施策・再訪施策・効果測定の5つのステップがあります。ここからは、5つのステップの詳細を解説していきます。
Webマーケティングのステップ①:戦略策定
Webマーケティングを実施する際、どんなWebサイトにするか、どのような広告にするかなど、制作や運用のことを考えしまいがちです。
しかし、どこに向かって走るのか戦略がないままスタートしてしまうと、時間とお金が無駄になってしまいます。
マーケティングフレームワーク
戦略策定はマーケティングフレームワークをベースに行います。フレームワークとは考え方の枠組みのことです。フレームワークを使うと抜け漏れなく効率的な分析を行えます。
マーケティングフレームワークには3C、4P、STPなどがあります。例えば、3CはCustomer(市場・顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)という3つのCについて分析を行います。
3Cを使うと、「どんな顧客に商品を届けるか(Customer)」、「自社にどんな強みがあるか(Company)」、「どのように競合と差別化するか(Competitor)」が分析可能です。
関係のない顧客に商品を見せても興味を示さないですし、ずれた商品の訴求をしても見込み顧客には響きません。また、競合と同じマーケティングでは自社商品が顧客に選ばれる可能性は低いかもしれません。
このように、マーケティングフレームワークを上手に活用すると、事前にマーケティングの方向性を絞り込め無駄な施策を回避できます。
KGIとKPI
前述のマーケティング分析で走る方向が定まったとしても、ゴールがないとどこまで走れば良いかわかりません。戦略策定のステップでは、いつまでにどのくらいの目標を達成するかをあらかじめ設定します。
Webマーケティングの現場では、目標設定の際にKGI・KPIという言葉がよく使われます。
KGIはKey Goal Indicatorの略称です。日本語では「重要目標達成指標」と呼ばれ、最終目標を定量的に示した指標になります。一方、KPIはKey Performance Indicatorsの略称で、日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれます。
KGIとKPIの関係は、KGIはゴールであり、KPIはゴールに到達するまでの中間プロセスを定量的に示した指標となります。KGIは基本的に一つで、KGIに紐づくKPIは複数設定することが一般的です。
KGI・KPIの形で計測可能な目標を設定することで、進捗状況の把握や施策の効果検証が行いやすくなります。
KGI・KPIの一例
- KGI:重要目標達成指標
- 1年以内にEC売上高120%達成
- KPI:重要業績評価指標
- 新規訪問者数10%アップ
- ページ閲覧数5%アップ
- 購入率5%アップ
上記は、KGI・KPIの一例です。もちろん、戦略や目標も一度決めたら永遠に固定化するのではなく、Webサイトを運営していく過程での環境変化に合わせて、柔軟に対応することが重要です。
Webマーケティングのステップ②:集客施策
戦略と目標が決まったら、どのようにサイトに訪れる人を増やすかを考えます。主な集客施策としては、「SEO」「リスティング広告」「ディスプレイ広告」「SNS広告」があります。
SEO
SEOとはサーチエンジン最適化(Search Engine Optimization)の略称で、Googleなどの検索エンジンでサイトを上位に表示させる施策です。
ある情報を探してる人がブラウザで特定のキーワードを検索したとき、キーワードの意図に沿った自社のページが一位になるように、使い勝手の良いサイト設計と良質なコンテンツ作成に取り組みます。
SEOは効果が出るまでに時間がかかるものの、コンテンツ作成自体は事実上無料で行うことができるため、適切なキーワード対策ができれば中長期で効率的な集客経路になります。
リスティング広告
リスティング広告は有料でGoogleなどの検索エンジンの上部にページを掲載する広告のことです。検索エンジンの検索結果に連動して表示される広告なので、検索連動型広告とも呼ばれます。
広告がクリックされると広告費用が発生する仕組みですが、購買意欲が高い人の検索キーワードに対して広告を出せるため、商品の購買に直接つながりやすいのがメリットです。
また、少額から即日広告を出稿できるため、広告効果を測定しながら短期間での集客を実現できます。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告はWebサイトに訪れた人に、画像やアニメーションの形で表示する広告です。
リスティング広告と違いサイトに訪れた人に広告が表示されるため、潜在的なお客さんに商品の認知を拡大でます。
クリックしたくなるクリエイティブを作成できるかが重要で、ユーザーの反応を見ながら画像とキャッチコピーの最適化できるかが、Webマーケターの腕の見せ所になります。
広告の費用形態には、バナーがクリックされた時に費用が発生するクリック型や、広告がユーザーの目に触れた時に費用が発生するインプレッション型などがあります。
SNS広告
SNS広告は、Facebook・Instagram・Twitter・TikTok・LINEなどのSNS上に表示する広告です。
属性や興味などのユーザーのプロフィール情報をもとに、正確に広告の配信ターゲットを決められるのが、SNS広告の大きな特徴になります。
各SNSによってユーザーの年齢層や利用目的が異なるので、それぞれの特徴に合わせた広告配信先を選定が重要です。
広告効果を最大化するために、日々の運用でターゲット・クリエイティブ・配信面の最適化をいかに速くできるかが鍵になります。
Webマーケティングのステップ③:接客施策
サイトに多くの人を集めたとしても、サイト自体の使い勝手が悪いとユーザーの離脱に直結します。サイトを快適に利用してもらう施策が「LPO」や「EFO」です。
「LPO」や「EFO」はページの部分的な改善にとどまりますが、サイト全体のUI・UXの良し悪しも非常に重要になります。
ちなみに、UIはユーザーインターフェースの略称でサイトの見た目や使いやすさのことで、UXはユーザーエクスペリエンスの略称でユーザーがサイトを使って得られる体験を意味します。
LPO
LPOとはランディングページ最適化(Landing Page Optimization)の略称です。
ランディングページとはユーザーがクリックして最初に表示されるページで、情報収集や商品購入などユーザーの目的が達成しやすいページ作りが重要になります。
LPOでは資料請求、会員登録、商品購入、などのサイトの収益に繋がる指標である成約率を上げるために、ランディングページ内のコピー、ビジュアル、レイアウトを最適化します。
EFO
EFOとは入力フォーム最適化(Entry Form Optimization)の略称で、サイトのフォームをユーザーが入力しやすい形に最適化する施策です。
会員登録などをする際に、入力項目が多すぎたり何回も入力エラーが出たりすると、ユーザーが途中で入力を諦めて離脱する原因になります。
サイトの成約の最終段階でユーザーが離脱するのは大きな損失です。さらに、サイト使い勝手に対するストレスから不信感をいだき、ユーザーが競合サイトにいってしまう可能性もるため、非常に重要な施策といえます。
Webマーケティングのステップ④:再訪施策
ユーザーがサイトで会員登録や商品を購入しても、それで終わりではありません。新規で獲得したお客さんをリピーターにするため、継続的にサイトに再訪してもらう仕掛けが必要になります。
メールマガジン
会員登録時にメールアドレスを取得しておくと、ユーザーに対してメールマガジンが配信が可能です。
メールの長さに制限がないのと、テキストだけでなくビジュアル形式でも送信できるのが特徴です。SNSと違いタイムラインに流れず、ユーザーの受信ボックスに残りやすいのもメリットとなります。
ユーザーの開封率を確認しながら、メルマガの最適な配信内容や配信時間を工夫することが大切です。
LINE
企業のLINEアカウントに友だち登録をしてもらえれば、ユーザーに直接メッセージを配信することができます。
LINEを利用するメリットはその50%を超える、そのメッセージの開封率の高さでです。また、クーポンの発行することで再購入を促進できます。
SNS運営
SNSの公式アカウントを開設しユーザーと継続的にコミュニケーションを取ります。
自社の商品・サービスが拡散しやすいSNSを採用し、共感性の高いコンテンツを投稿するのがポイントです。
Webマーケティングのステップ⑤:効果測定
ただ施策を打つだけでは実際どのくらい効果が合ったか不明です。現場でよく利用される効果測定ツールは、Google社が提供するGoggleアナリティクスとGoogleサーチコンソールの2つです。
Googleアナリティクス
GoogleアナリティクスとはWebサイトのアクセス解析ツールで、ユーザーが自社のWebサイト内でどんな行動をしたのかを把握できます。
例えば、Webサイトの滞在時間や、ページの閲覧回数、ユーザーの離脱率など、様々な指標が確認できます。
Googelサーチコンソール
GoogleサーチコンソールとはWebサイト検索の分析ツールです。ユーザーがどんなキーワードでページにたどり着いたかや、ページの表示順位などを確認できます。
Googleアナリティクスがユーザーがサイト訪問後に使う解析ツールであるのに対して、Googleサーチコンソールはサイト訪問前に使う分析ツールです。
Webマーケターの仕事内容とは?
ここまで、Webマーケティングの考え方や主な施策を紹介しましたが、まだまだ全体の一部に過ぎにません。
実際のWebマーケターの仕事はより分業化、専門化されていて、それぞれの担当者がチームになり動くことがほとんどです。
担当領域の違いはありますが、ユーザーきちんと理解すること、データにもとづき施策の改善を繰り返すこと、この二つが仕事内容の基本になります。
こちらの記事で、それぞれの職種の仕事内容を紹介しいるので、興味のある方はご覧ください。
Webマーケターとして活躍するには!
デジタル技術の変化のスピードが速まり、次々に新しいWebマーケティング手法が登場します。
Webマーケターは常に新しい技術や手法にキャッチアップ必要がありますが、勉強を続けることで個人としての競争力も高まり、企業から頼られる存在になるでしょう。
また、仕事の基礎となるマーケティングの理論は普遍なので、実務を通してマーケティングのノウハウを高めていってください。
未経験でWebマーケターになりたい方は、Webマーケティングスクールに通うのもおすすめです。